江戸小紋 廣瀬雄一 展
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江戸小紋 廣瀬雄一 展
細かいもの、小さいものに美しさを見出すのは、日本的美の特徴のひとつかもしれません。遠目には無地に見えるほどの細やかな文様をつくりだす為に、膨大な時間と手間を費やす。
きもの屋そねはら(きものKUREHA)は、年に数回(少ない年は2回)、特別展として展示会をしております。展示会にあたっては、産地・工房訪問をさせていただいたり、作家さんをお招きしての展示会となります。
2024年の第一回めは、日本工芸会でも活躍されている廣瀬染工場 四代目『廣瀬雄一』さんを特集いたします。
2022年の日本伝統工芸展では、4度目の入選をされ、日本工芸会正会員となられており、ご活躍の最中に展示会を開けることを大変嬉しく思います。
会期中は、廣瀬雄一さんにご来場いただきます。作品について直接お話を伺いながら、廣瀬さんの染める江戸小紋の美しさに触れていただければと思います。
『江戸小紋 廣瀬雄一 展』
と き
2024年2月23日(金)~25日(日)
10:00 - 18:00(最終日17:00迄)
ところ
きもの屋そねはら
長野県岡谷市南宮2-5-21
0266-22-4966
ご来場予約
廣瀬雄一さんプロフィール
1978年 東京都新宿区生まれ
2000年 シドニーオリンピック・ウインドサーフィン強化選手
2002年 (有)廣瀬染工場入社
2014年 第54回東日本伝統工芸展 入選 / 第61回日本伝統工芸展 入選
2022年 第69回日本伝統工芸展 4回目入選 日本工芸会正会員認定
廣瀬雄一さんインスタグラム @yuichi.hirose
廣瀬染工場HP
https://komonhirose.co.jp/index.html
廣瀬さんは100年を超える廣瀬染工場の四代目。大学時代にはウィンドサーフィンでオリンピックの強化選手にも選ばれたスポーツマンです。卒業後すぐに廣瀬染工場に入られています。
江戸小紋
つくると便利な着物として江戸小紋が取り上げられることも多く、既にお持ちの方もいらっしゃるのではと思います。
型紙は、和紙を重ねてつくられており、職人の手で彫刻刀をつかって図案が掘り出されます。その繊細で細やかな文様の型紙は、次にバトンを渡す”染めの職人”への挑戦のようです。
廣瀬雄一さんはじめ染めの職人は、型紙をアーカイブしながら、自身の『色』と組み合わせて反物を染めていきます。
以下は、2023年12月に廣瀬染工場を見学させていただきました際の画像と合わせての紹介となります。
二枚型
廣瀬雄一さんの作品の特徴として二枚の型紙を重ねて用いる、二枚型小紋があります。
第67回日本伝統工芸展にて入選作品
並び二枚型小紋着尺「千鳥格子」
異なる二枚の型紙を重ねて糊置きすることで一つの文様となる作品。
黒の千鳥部分を残して、輪郭を糊付けするには一枚の型紙は物理的に不可能なのです。
型紙を繰り返して継いでいく、その継ぎ目を合わせて分からないように糊置きするだけでも熟練の技が必要ですが、更に重ねるという単純に倍の糊付け工程が求められます。
ここで、日本工芸会など団体に所属し作品を発表し続けることの大変さを思います。日々の制作に加えて、審査員の方々を唸らせる「作品」に挑戦していく。
こちらについても、膨大な型紙のなかに眠っていた(その大変さ故に手が付けられていなかった)二枚型を選び出し、制作を始めたと仰っていました。
廣瀬さんがこちらの作品を発表するまで、二枚型は色数を増やして染められるという利点での認識が一般的だったようです。単色で高度な二枚型の小紋は、廣瀬さんが「廣瀬染工場」がもつ膨大なアーカイブ(歴史)の中から、現在の環境と照らし合わせて、価値を再評価したものといえます。
見せていただいた型紙保管庫の一部
何を染めるか、新しい価値をもつ作品を生み出すに、こちらでも長い思索の時間が流れたはず。
鮫小紋に交差する縞を重ねて、こちらも二枚の異なる型紙を組み合わせた作品。
染め場
糊置き(型継)の工程を見学させていただきました。
微細な文様の流れをピタリと合わせる、空気の張り詰める一瞬。
染め場の天井にずらりと並べられた一枚板。
「良い板を使うと良い作品ができるのです」
長板は、13mある”もみの木”の一枚板。それぞれの板の状態・表情は一枚一枚異なります。”良い板”は廣瀬さんに限らず職人さん達の秘密であり、誰にも教えず貸すこともしないとのこと。
廣瀬さんご自身でサンダーを掛け手入れをし、洗うのも一苦労(染め場内にある水場にて)な長板。そもそもとして、もみの木の一枚板という天然素材を使うことの理由をお尋ねしました。
それは、”湿らすことができるから”。
型継の前、板に霧吹きをし反物をピタリと張り付けて固定します。技術の前段階として生地が動かないという土台が必要です。水分を含むことで、和紙素材である型紙も正確に合わさり、また劣化しにくいのです。木材の水分を含む、呼吸しているという自然作用が染めに適しているのです。
型紙
染め師の財産でもある型紙についても様々教えていただきました。
「伊勢型紙」縞彫りで重要無形文化財保持者(人間国宝)である児玉博氏の万筋型紙。
どんな名人にも同じ型で20~30枚に一枚、特に優れたものがあるそうです。
型紙は染められる回数が限られており、いずれ破損してしまいます。
廣瀬さんは、型紙を継承していくために、自身では使い切らず保存しているとのこと。
鮫小紋「サメ」文様の型紙。
廣瀬さんの作品は、二枚型の技巧的なものから、ユニークでかわいらしいものまで制作されています。
色
防染においても、色染めにおいても、もち米からつくる”糊”が必要になるため、工程には大量のもち米を蒸す調理の時間があります。
色糊の状態と、染めの後に蒸気で蒸して色を定着させて仕上がってくる色は異なります。温度湿度など環境によっても色は変化するため狙った色を出す難しさをお聞きしました。
廣瀬さんの得意とする色、”ブルー”の極七宝江戸小紋
『江戸小紋 廣瀬雄一 展』日程はこちら
廣瀬さんの魅力的な色と文様の小紋を、ぜひお楽しみいただければと思います。
期間中、会場には廣瀬さんにお越しいただいております。
と き
2024年2月23日(金)~25日(日)
10:00 - 18:00(最終日17:00迄)
ところ
きもの屋そねはら
長野県岡谷市南宮2-5-21
0266-22-4966
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